AIPackageのUseMagicで左手専用武器の召喚魔法を強制的にキャストさせて“二刀流化”し、効果時間の終了とAIの自然な持ち替えのタイミングを頼りに“一刀流に戻る”方法です。
今回の記事のテーマである『二刀流化シャウト』は、既存のSpellにそういったものが存在しないため、実現可能かどうかは予測不能でしたが…少なくとも、左右の手の装備Slotとは別の「シャウト枠」に装備することができるので、盾や武器に塞がれてSpellがキャストできないという心配は無さそうです。もしかすると、カスタムAIなしでも二刀流化できるかもしれない…!?という期待もありました。
実践してみたところ、前者の方法でなければ上手くいかないことが分かり、後者の案は没になりました。…どうしてダメだったのか?を振り返ってみます。
【無類の短剣好き】 vol.3~短剣使いの苦悩~前編
アシスはヴィルカスやドヴァキン達に、二刀流について熱く持論を展開していた―――
ヴィ「旅に出る前とは…見違えるように身のこなしが速くなったな…!」
アシ「ふんふん。俺に掛かればこんなの楽勝!と、言いたいところだが…二刀流への持ち替えにはそれなりに苦労したんだ。もちろん、失敗もたくさんあったよ。」
ドヴァ「随分、軽快に持ち替えられていると感じていたが…どんな失敗が?」
アシ「左手に扱いやすいダガーを持っていると、速攻をかけられる分、盾で身を守ることを疎かにしてしまう。一方、ダガーの威力が弱いときは、二刀流するより盾で防御しながら一刀流で戦った方が、安全だし効率が良い。今まではそう判断していたんだがな…ある時、常に一辺倒な戦い方をするよりも、相手の出方をうかがいながら戦術を変えた方が良い気がしてきたんだ。それが賢い戦士ってものだろう?…そして俺は、新たな戦い方を身に付けた。」
ヴィ「例の…“カスタムAI”というやつだな?!」
アシ「その通り。あれはウィザードの素早い魔法の構えを取り入れた二刀流だ。」
(回想)―――ジョルバスクルの訓練所。
アシ「構え方を模索していた当初は…左手を盾からダガーに持ち替える時に、盾をしまってダガーを持つという動作に隙ができてしまう事に苦悩していた。そこで、“取り出しやすい別の場所(シャウト枠)”に装備しておくことで、一気に済ませられないか?と考え付いた。隙を作らずに着脱でき、切り替えをスムーズに行えると思ってな!―――だが、それには想定外の問題があったんだ……」
【二刀流化シャウト】
カスタムAIを用いずに、フォロワーに周期的なタイミングで二刀流になってもらう方法について試してみます。Spellをそのままの形から、両手が塞がっていても別のSlotに装備できる『Shout』にして、キャストしてもらう方法です。
LeftHand型武器の召喚シャウト。
Wordには「力の言葉」を、Spellには「召喚したい武器」を自作して設定。RecoveryTimeは30秒にしました。上手くいけば、①戦闘開始→②シャウト→③二刀流化→④30秒経過後に消失して一刀流に戻る→①'RecoveryTimeで再びシャウト可能になる、という流れになるはずです。
召喚シャウトに搭載したSpell。
Typeを「声の力」、EquipTypeを「Voice」に設定。Durationは30秒にしました。
スカイリム上でシャウトの効果を確認します。
アシ「ウラァァッーーー!!!」
(シャッ…!!)
アシスは謎の気合で、左手の盾をインベントリへ押しやりました…(汗)
―――予想よりも良い!!手に呪文を装備する隙を作らずに、武器を持ったままキャストを行えます。シャウトすると同時に、左手に持っていた盾が強制的にはずれ、自作アシスのダガー(左手専用)が召喚されて、置き換えられました!しかも、持ち替え方がカッコイイ!手を前に突き出し、下から上へ武器が吸い寄せられるようなモーションになるので、「Spellバージョン」とはまた違った印象になります。
右手には影響がないのでそのまま、二刀流へ!!シャウトの『RecoveryTime』を利用することで、ある程度のタイミング調整も期待できます。もし少し間を開けたい場合は、SpellのDurationとRecoveryTimeをずらし、後者を30秒から45秒にすれば、15秒間は二刀流にならないで戦ってくれます。外れた盾もちゃんとインベントリ内に残っていました。これは、いける…!!
手ごたえを掴んでしばらく観察を続けていると…シャウトによる二刀流化の場合も、やはり武器のDPSが関わっていて、「所有している片手武器のDPSが召喚する武器以上になっていると、シャウトを行わない」ことが分かりました。それでも、盾を持っていてもキャスト(二刀流化)するのが可能になった!と、喜んでいたのも束の間―――
(…???)
―――召喚した武器が消えない!!!継続時間が終了しても、「Spellバージョン」の時と異なり…消失しませんでした。その上、フォロワーはDPSを調整した左手専用ダガーがインベントリに残存した場合、盾より優先的に使ってしまうため…一度召喚すると、それ以降はずっと二刀流してしまうことになります。これは、切り替えが不可逆的になってしまうことを意味します…困りました!!
【武器召喚シャウトの問題と原因】
バニラの武器召喚の呪文と自作したシャウトとの違いを調べていくと、武器召喚の呪文は『納刀したり、時間が経過すると消える仕組み』になっていることに気付きました。シャウトで召喚してインベントリ内に残存した召喚武器は、呪文で召喚した時と違って消えなくなってしまいます。この場合、プレイヤーがフォロワーから回収すると…跡形も無く消えました。つまり、シャウト化すると『召喚武器としての性質は持っている』のですが『納刀や時間経過での消失機能が働かなくなる』ので、消えなくなるようです。一時的にインベントリには存在しますが、死亡したり、武装解除の攻撃を受けたり、盗られたり、別の武器(両手剣や弓)に持ち替えたりして、召喚者の手元から離れれば消えるという…非常に不安定な扱いになっているようです。しかし召喚者自身がNPCの場合は、特殊なAIPackageを持っていない限り、プレイヤーのように意図的に「装備を外す」や「捨てる」などの動作は勿論できないので、AIの自然な「持ち替え」に頼ることになります。この違いが“盾を使う通常の戦い方”と“二刀流”をコントロールする際に、非常に厄介な問題となってしまいました…。
そもそもシャウトには、「抜刀/納刀」という概念が無かったのです。
シャウトは呪文と違って“構える動作”などが必要なく、使用者にとって常に解放されている能力なのでした!!召喚呪文など一部のSpellには、『Draw(抜刀)/Sheathe(納刀)』という動作が大きく関わっているようで、作成の際は注意が必要なことが分かりました。
詳細に既存の召喚魔法と見比べてみましたが、SpellやMagicEffectの設定には大きな違いがありません。ということは、召喚するWeapon側の設定に何らかの原因があると考え、EquipTypeを「LeftHand」から「RightHand」や「EitherHand」にした時にどうなるかを確認しました。すると、「RightHand」や「EitherHand」にした場合は、シャウト化しても時間が経てば、正常に消失しました。「EitherHand」は、シャウト化した際にどちらの手に召喚されるのか?も気になっていたのですが、シャウトすると武器が必ず「右手に召喚」された事から、「左手が塞がっているとRightHandとして扱われる」という前回の予想が当たっていました。
消えなくなるのは『LeftHand』の武器をシャウトで召喚しているからのようです。あくまで推測ですが、呪文でLeftHand型を召喚した時には、通常通りに召喚と消失が機能していることから考えると、召喚を行うスロットと武器を扱う(装備する)スロットはワンセットに紐づけられて処理が行われている可能性があります。一致していない時に、「時間経過」や「抜刀/納刀」によって消すという処理自体が存在していないのだと思います。全体的に「RightHand」が最優先される仕組みになっているため、シャウトにした時にも偶然(奇跡的)に、「時間経過」の消失が適応される不思議な現象が起こるのかもしれません…。
【呪文とシャウトの違いと利用】
召喚武器の持ち替えのモーションの特徴にも気が付きました。右手の方は左手に比べて少し持ち替え動作が遅くなる気がします。
【二刀流化シャウト:総括】
このように、『二刀流化シャウト』は微妙な方法ではありますが…、装備Slotが塞がれることを解決するために、カスタムAIを構築して強制的に使用させるというキャスト面の心配が要らず、「二刀流に“なる”」だけならシャウトさえできれば成立するという簡易性がメリットであると言えます。デメリットは、いったん召喚すると戦闘中はずっと二刀流になってしまい、時間経過や納刀で「“自力で”一刀流に戻れない」ので、プレイヤーが戦闘終了後にフォロワーの持ち物から召喚武器を取り除く手間がかかり、完全な自動システムにならなくなる点です。
期待していた二刀流の簡略化には結びつかなかった方法でしたが、RightHand型やEitherHand型なら「召喚→消失」が、呪文でなくシャウトにしても「時間経過」で行えるので、自然なAIの持ち替えのタイミングや時間経過を利用して、一時的に右手を「剣→ダガーなど武器の種類を替える」、「エンチャント武器→召喚武器に持ち替える」といった使い方ができるかもしれません。
例えば、フォロワーは付呪のついた武器のチャージ量などを考えずに、見境なく使用する傾向があります。最初に装備している武器に魂縛や火炎などのエンチャントが付いているとして、シャウトによって途中から召喚武器を使わせます。呪文のDuration(継続時間)とシャウトのRecoveryTimeを調整することで、消失するタイミングや持ち替えのタイミングにより、元々使っていた武器に戻るので、無意味な付呪の無駄遣い(効果が重ならないもの、敵に効きにくいもの)や魂石のチャージ量を節約させることに応用できるかもしれません。
以上をまとめると、武器召喚シャウトは…
・左手武器の場合は、「NPC自身のAIの自然な持ち替え」や「プレイヤーが取り除く」以外では簡単に消えなくなる。
・右手武器の場合は、「時間経過」で消失する。
・左右に共通して、“呪文とシャウトの仕様上の違い”から「納刀/抜刀動作」では消失できない。
・BoundWeaponに☑すればモーションが「召喚的」に、☑なしだと「通常の取り出し方」になる。
『二刀流化シャウト』の方法では、左手武器に応用して二刀流化した場合に「出現させた武器を取り除く手段」が必要になることが判明しました。引き続き、「装備を外させる方法」についても考えてみることにしました。
…つづく。